こんな日 は。
雨の音が聞こえる
ヒトもまばらな朝の軍部。早くも出勤してきたホークアイは、今朝も朝から立て込んでいるらしい書類の束を携えて、いつもの部屋の扉を開けた。
まだ誰も居ない部屋。書類を正面の机に置く。
「………」
ぱら ぱら と。
雨の音がする。導かれる様に彼女は閉められたカーテンを開いた。外は朝だと云うのに重く黒い雨雲で空は覆われている。先刻から降り出した雨の勢いは徐々に強まり、其れに比例して降り落ちる音もますます大きくなってきた。
何の感慨もなく空を見上げていたが、不意に、この天気に滅法弱い彼の姿が浮かんだ。
『雨の日は、無能なんですから!』
叩きつける様に云い放った言葉が脳裏をよぎる。
思わずクスリと笑った瞬間に扉が開いた。振り向き、今思い描いていた人物を見止め彼女は淡く微笑んだ。
「おはようございます、大佐」
こんな天気の日は、アナタだけ想うなんて 秘密です。
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