xxx 喰らいあうケダモノ



「俺が思うに、男って何だかんだ云ってケダモノなんだなぁってことですよ」
ポツリと呟かれた須田の言葉を思い出しながらも、それは一体どんな経過で生まれた言葉だったのか、安積は思い出そうとして出来なかった。



嗚呼、快感がすべての邪魔をする。



しかし記憶は前に戻ることはなくとも、それに続く内容は流れるように脳内に再現された。
須田は妙に達観した表情で続けた。
「そして更に付け足すなら例え同じケダモノでも、その獲物に成り得るってことですね」
「どういうことだ?」
「まあそのまんまです。まさに喰うか喰われるか、です」
「弱肉強食みたいだな」
思いつくままに意見を述べてみる。
「んー…、まあ例えるなら弱肉強食、に似ているかもしれませんね」
弱きは強きに喰われる。
ちからの違いが、結果に違いを生じる闘争の世界。 須田は一瞬言葉を呑み込んで考えた。安積は須田が何を云いたいのか正しく呑み込めずにいた。
「まあ意味的には似ているんですけど、何て云うか、多分両者の間にそういう意味での強弱はないんじゃないかな、と…」
窺うように見た須田は何処か遠くを見ているような、夢見心地な表情を浮かべているというのに、どうしてか語られる内容は酷く濁った世俗に満ちている気がする。
「本能的な欲求を満たす為に相手を喰う」
ぞくり・とした。
その、何故か判らない感覚に安積は混乱しかける。
「そして相手も、本能的な欲求を満たす為に喰われるんです。ただ、能動・受動が違うだけで」
淡々と須田は言葉をつむいでいく。安積は須田の真意が掴めずにいた。
「喰らうケダモノは相手を征服する。でもその一方通行じゃなく喰われる方だって、征服されるだけの引力を持ってして相手を征服している」
立場は対等である。
しかし其処まで云って、須田はフと言葉を切った。
でも。
「そうですね、一度否定しちゃったんですけど…、考えると弱肉強食が違うとは云い切れないこともないと思います。つまり、より一方が強く、確実に支配して獲物である弱きを喰う」
どうしてだ?
無言で眉をひそめた安積を見て、須田は笑った。



「だってケダモノ同士なんですよ?」 (より相手より有利に立ちたいものでしょう?)



嗚呼、そうだな。
熱に浮かされながら安積は妙に納得した。今なら支配され喰われる気持ちが痛いくらい判る。
だが須田の言葉を聞いた後である今、以前とは違った気持ちになっていた。

自分もまた、相手を征服している自信がある・と。





其処にあるのは相手を喰いたいという欲望。
(そして喰われたいという願望)





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*原作で安積と須田が語り合ってるのを見ると、よく判らないけどとにかく萌えるひとって自分だけですか。

根底には速×安と黒×須をほのめかす会話。
結局オトコはケダモノだもの。抱かれてもタダでは抱かれません。みたいなカンジ。や、下克上したいんじゃなくて、互いに互いを征服しあってる(いい意味で)依存が大好きです。意味判りませんね、そうですね…。

ただ相手が好きで、喰らいたい。生物的本能の欲求みたいなものを意識したら失敗したってだけです(凹)

2010.02.07