彼の目つきは獣のようだ。 xxx 獣 「肉食獣…、肉食獣…」 ぶつぶつと、小声ながらも不穏な単語を須田は繰り返す。 ライオン、チーター、熊、虎、ジャガー、ピューマ… イマイチしっくり来ないなあ、何だろうなあ。 待機寮。 珍しく穏やかに一日が過ぎて、我らが強行犯係安積班は随分と早く解散し帰宅した。 そんな穏やかな夜だというのに、何故須田が不穏な単語を並べているのには、勿論訳がある。 黒木。 今此処にいない彼を、肉食獣になぞらえているのだ。つい先刻まで居た黒木の自分を見つめる目、それが肉食獣のどれかに思えて仕方がない。 「肉食獣…、他にどんなの居たっけ…」 「何言ってるんですか須田チョウ?」 「ぅわぁああぁ!」 全然気配を感じなかった。刑事失格か。 「驚きすぎですよ」 かすかに笑って、黒木は小さな紙袋を床に置く。 最近になって黒木のそんな表情をよく見るようになったなぁ、と須田はぼんやりと思う。彼は意外と甘えたがりなのかも知れない。 「肉食獣って何です?」 は。と気づくとやたら近くに黒木の顔があった。 たじろぐ。 ああ、この目だ。 「豹…」 呆然とつむがれた言葉に我ながら、あぁいい答えを見つけた。と思う。 1番しっくりきた。 「豹?」 須田のこめかみにキスしながら、黒木がオウム返しに呟いた。 「黒木は豹みたいだな、と思った」 再び真っ正面から見合う。そう。しなやかな肉体で獲物を狩る姿は豹そのもの。 事件現場でもよく見る目。惚れ惚れするほどに強くたくましくある目だ。 「そう思うんですか」 「う… んッ」 頷く暇も与えずに唇を塞がれた。 喰われる。 身も心も残さずに喰らい尽くすようなキスだ。 「お預けを喰らいましたからね。ちょっと余裕ないかも知れません」 既に息の上がった須田とは対照的に、淡々と黒木が呟いた。いや、表面はそうかも知れない。しかし揶揄した通りの豹の目にははっきりとした情欲の炎が宿っている。 須田はキスの余韻の潤んでぼやけた視界で、小さな袋を歯で咬みきる黒木を捉えた。 「貴方を喰いたくて仕方がないんですよ」 須田は再び豹の目をした黒木と見つめ合い、その身を差し出した。 ―――――――――――――――――――――――――――――― *がっつり黒木×須田です。 あっはは、笑っちゃう内容ですいません。豹表現をベタに扱いすぎてすいません。 書いてて、片思いもオイシイけど、両想いの方が書きやすいと気づきました。 てゆうかその方が、楽しいですよね…! あ、ちなみに黒木が持ってきて最後に噛み切ってたブツはコンドーさんです。 あえてぼかす必要は何処にもないですね。 ちょっとえろちっくに見せたくて失敗し ry 2009.07.07 戻 |