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ノーネーム 不思議な関係だな と、思った。 繰り返されるくちづけに一度は翻弄された意識が戻ってきて、安積は縋るように速水の服を掴んで更に溺れながら考えた。 「ん、…、っ、 はや、み」 漏れる水音がリアルでいて、しかし夢のように儚くも聞こえる。 速水と繰り返される様々な行為はいつもそうだ。 現実でいて、仮想。 「安積」 視線が近すぎて何が何だか判らない。 彼の瞳に自分が写っているのか、自分の瞳に写っている彼なのか。 「ふ… ぁ」 まだ離れたくない。 何となくそんな気持ちで、離れてしまった速水の唇を追い掛けて再びくちづけを交わす。僅かに上げられた口角に、速水が笑ったことだけ判った。 「今日はやけに積極的だな、ハンチョウ?」 濡れた唇を舐めながら、不敵な微笑を浮かべて速水が覗き込む。 「…、 悪いか」 「いや?」 つつ、と腰骨をなぞりあげられて、ビクリと反応を返す安積に、速水はますます笑みを深くする。 「何か最初は考え事してるみたいだったからな。少し驚いた」 「ああ…」 気づかれていた。 「おかしな関係だな、と思ってな」 「俺達が、か?」 「そうだ。友達や親友などという経過は過ぎた。不倫とも違うだろう。しかし恋人というにはまた違うと思わないか?」 「セックスフレンドとも云わないな」 厭な云い方をする。 思わず眉を顰めた安積に、さも可笑しそうに速水が笑う。 「この関係に、そんなに答えが欲しいのか?」 問われ、安積は唖然とした。 「いや、そういう訳じゃなくて。ただ疑問に思っただけだ」 「別に答えが欲しいんじゃないなら、このままでいいだろう。俺達は、俺達で」 もうこの話題には飽きた。 と、ばかりに早々に切り上げた速水は安積の首筋に下を這わせた。途端に背筋を駆けぬけた快感に安積は全身を震わせる。 「は…っ」 確かに答えが欲しかった訳ではない。 ただ何か言葉が欲しかったのかも知れない。 「ん、ん…」 どんどん熱を帯びていく愛撫に、安積の意識が再び翻弄され始める。 「別にどんな名前がついていようが、なかろうが、どうでもいいことだ。此処に俺が居て、そしてお前が居るなら、それで」 そうだろう? 徐々に快感に埋没していく意識の中で安積は、速水の答えに自分でも驚くほどに納得しつつも安堵していることに気づいた。 ―――――――――――――――――――――――――――――― *速×安。 置いてる小説のカプ比重が完璧に黒×須寄りですが、いやいや、速×安も大好きなんです。と云わせて下さい。 大好きなんです。大事なことなので2度書きました。 多分書くもののメインは黒×須になりそうなんですけど、こう、そっと書きたいんです、速×安。 大人のオフィスラブ的なイメージで。 2009.07.26 戻 |