抱き締める腕のちからは痛いくらい強くて、



でもそれに対して文句の云える立場じゃないことを知っていて、



だけど、



「大丈夫だよ。大丈夫だから」

強がって云うと、ほんの僅か、彼は腕のちからを緩めて顔を寄せた。
滅多に感情を表さない顔に、明らかにそれと判る眉間の皺。
何故云ってくれなかったんですか。
何故頼ってくれなかったんですか。



何故そんなにも強がりをするのですか。



云いたいことが凝縮された顔に、泣き笑いを浮かべるしかない自分。
そんな自分を彼はまた強く抱き締めた。



「……… うそつき」



爆発寸前の心と感情を必死で閉じ込めた声を、聞こえなかったふりをする。

ごめんね。

ごめんね。



お前を信じられない訳じゃないけど、云えないことだって、あるんだ。





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*「大丈夫だよ」に対する「うそつき」って凄く哀しい。

信じてない訳じゃない。
けれど云えないことだってあるんだよ、誰にだって。

そういうのが黒須にもあると思う。
(エンドレスコーリング) 空詩



2011.02.13