君に
xxx 共鳴
見た瞬間眼を疑った。
信じられないモノを見た。
身体中、否、己のスベテが彼を感じ取ろうとしていた。
――――――――― 魔人? ―――――――――
彼が。
彼が?
ヒトとしての天命を全うするする事無く、悪魔へと変貌を遂げた奇妙な存在である自分と、ヒトと悪魔の間に産まれた歪んだ存在である彼。
不思議と感じる共鳴は、彼にも響き―――――――――
「どっちつかずは御互い様だな?」
皮肉げに笑った彼は今自分の目の前に立ち、ゆっくりと頬に触れてくる。
「………」
「見ため、全然人間なんだけどな」
タトゥは置いといてだが。と云いつつも。
「本当… 騙されたい程だ」
浮かんだ苦笑。
「………」
「何だ?」
上手く発する事の出来なかった言葉を、しかし彼はしっかりと聞き止めて、聞き返す。
「オレ、も…」
「騙されたい ・ です…」
途切れ途切れ、掠れた声にダンテは笑った。
「最高だ」
そして触れるだけの接吻けをした。
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