まるで君は死んだ様に。



静かの月



「ユラ?」
冷えた廃墟の一室。幾日にも渡る戦闘続きで疲れ果てた一行が束の間の休息を得る為に否応なく選ばざるを得なかった其処で、ただ静かに横たわり眼を瞑る少年の姿が在った。
他の仲魔はストックに戻してあるのか姿はない。
自分一人でもどうにか出来ると思ったのか、何も考えていないのか、一人で静かに眠る由良。
「… ユラ?」
其れでも不審げに呼び掛けてしまうのは、彼があまりにも静かに眠るからだった。
寝返りのひとつもしない。其れどころか呼吸をしているかどうかすらも判らない程に、彼はただ静かに眼を瞑って横たわっているだけ。
ダンテは其の袂まで近づくと、そっと頬に触れた。
あたたかい。
確かに生きているのに、死んでいるみたいな彼。
思い掛けなく胸が締め付けられ、ダンテは幼子を抱く様に由良を抱き締めた。
「…… ん…」
身じろぎし、うっすらと由良が眼を開き、自分を見詰めるダンテに気づくと小さく笑った。起きたての、声にならない声が、ダンテの耳に滑り込む。
『…… どうした の』
「ユラ?」
「… 泣いて ・ る みたい だから…」
心臓を鷲掴みにされた様な衝撃。一瞬にして心を乱してしまったダンテに、由良はしかし。
「… あったかい……」
自分を抱き締めるダンテの胸に頬を寄せ、更に身を寄せてくる。
「此処に ・ 居て …」
求める気持ちを其のまま言葉にされて、ダンテは息を呑んだ。ぎこちなく由良を見下ろすと、また誘われた眠りの底へと彼は落ちていた。
胸元からかすかに聞こえる、今度ははっきりとした寝息に、ダンテは静かに微笑んだ。







「此処に居る。 ……ゆっくり休め、ユラ」 







ヘ タ レ !
でも実際死んだみたいに眠るヒトって居るんです。しかし無防備過ぎやしませんかユラ(苦笑)最悪ダンテに喰われるかもしれませんゾ…!






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