――――――――― そう たまには
誘惑
「たまにはそっちから誘ってみてもいいんじゃないか?」
ぽつり。
触れるだけの戯れの合間に、ダンテが口を開いた。
目の前には予想通りポカン・と小さく口を開いてダンテを見詰める金色の瞳。
まぁ コイツにそんな事云うのは無理だって事位判っちゃいるのだ。だが。
「いつもいつも俺からばかりオマエを欲しがってばかりじゃ面白くねぇじゃないか? ユラ。たまにはオマエの方から俺を欲しがってみてもイイんじゃないか?」
何となく。
何となく自分の空回りみたいな厭な感じ。其れがないとは云い切れないのだ。
ダンテの言葉を、ただじっと聞いていた由良はしかし、小さく首を傾げると空気の様な言葉を零す。
「…… 俺 は… いつも、ダンテを求めてる よ?」
其の言葉にダンテは驚いて彼を凝視した。
「いつも、 …見てる」
詰まりながら、其れでも由良は真っ直ぐに言葉を紡いでゆく。
其の、揺れる金色の瞳はだたひたすらにダンテを貫き―――――――――
「今日も、 …ずっと ・ 見てた」
なんと云う言葉。
なんと云う瞳。
あぁ なんと云う
抗い難い ――――――――― 誘惑か。
ダンテは心底嬉しそうな笑みを浮かべると、噛みつく様な接吻けを彼に与えた。
「ん、 …んん、」
苦しそうに身を捩る由良。だがしかし其れは彼の求めた行為。彼が望んだ行為。ダンテは其れを与えたに過ぎず、しかし―――――――――
「上等」
其れは彼の誘惑でもあった。
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