こころが痛むのは、 心臓から流れる 血 のせいだ。 其れは痛みと同時に ちからを 与えてくれる。 xxx ザ・ラザロス・ハート 強く 強く 強く 後悔などせぬよう 決して弱みなど見せぬよう 誰よりも何よりも強く強くあれと、ただひたすらに自分に云い聞かせ、そして努力してきたつもりだ。 後悔はきらいだ。 否、 後悔など二度と御免だ。 「強いんですね」 「先輩にゃ誰にも適わねーッス」 「すごいです。またまたクリティカルヒットです先輩!」 「お前、また腕を上げたのか」 そうだ。 そうでなければいけない。 強さ。 其れがなくては始まらないのだ。 苦い記憶。 残り続ける痛みと哀しみ。もう二度と其れを味わうことなどないように、必死に、ただがむしゃらに突っ走ってきた自分に幾つかの言葉が投げかけられる。多くは、身につけた強さへの賞賛。認められる賛辞。 そうだ、 もっと、 強く、 「苦しくないですか」 ……… ――――――――――――、 「辛くないですか」 何故、 そんなことを 云う、 「其れが貴方を傷つけているような気がして」 「、お前、」 「確かに先輩は強いです。今の段階で勝てない相手はいないでしょう。其れは確かに先輩の努力の賜物ですし、僕たちにはすごく心強く頼もしく、そして助けられています。でも、 其の強さは他のひとに見える意味で強いんです。 自分には、其れは刃なのではないですか。 自分に向かう、見えぬ澄んだ切っ先なんじゃないですか」 ゆっくりとした口調に似合わない言葉。語尾は疑問形の其れだが、口調は断定。 むしろ澄んだ切っ先はお前の方だろう。頭の中では浮かんだ台詞が言葉にならずに胸中に渦巻く。 其の瞳が、 其の貫くような瞳が自分を射抜いて言葉のちからを奪ってしまった。 いたい。 いたいのは こころか。 ちをながす しんぞうのおくが ひどく いたむ。 言葉を失ってしまった真田に気づいて、彼はフ、と表情を崩した。自分の言葉の齎した衝撃に気づいたのだろう。だが其れを訂正するでもなく謝罪するでもなく、ただ彼は笑った。 困ったような泣いたような、いつもの彼の曖昧な微笑み。 ああ 泣いても いいんだよ 痛くて哀しくて苦しくて、真田は予想していたよりもずっとずっと華奢な彼の身体をちからいっぱい抱き締めた。おそらくは遠慮も何もない其の抱擁はただの暴力かも知れない。でも、全身で彼に触れたかった。 触れて、彼に、伝えたかった。 言葉は何の効果もなく、握った拳に込める想いは彼には意味がない。 「せんぱい」 か細く、消え入りそうな声。 「せんぱい。 …せんぱい、ぼくは、ここにいますから」 うん、うん、とただ頷いて返事を返す。 「ねえいっしょになきましょう」 僅かに鼻にかかった声が耳に届いて、何だか酷く安堵してしまった自分に気づく。 嗚呼、 今なら 泣ける。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― *クリアしてないのにフライングダッシュ真(→←)主。 なんかすごいゆめみてるじぶんがここにいる。 矛盾点あっても腐れにんげんの痛々しさと思って生暖かい眼でまったり見てやって下さい…! 20050726 戻 |